Taiichi FoxWorld Playbook

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112 reports · 世界の国と地域から

スーダンのアカシアの樹液は、米国の包括制裁をただ一つだけ通り抜けた——「代わりがきかない」の作り方

米国の包括制裁を、ただ一つだけ通り抜けた産品がある 1997年11月、米国はスーダン産のあらゆる物品とサービスの輸入を禁じた。情報や報道資料以外に例外はないはずだった。ところが実際には、その後ほぼ17年にわたって、たった…

カンボジアは世界で唯一お金を廃止した国。だからこそ通貨に縛られない決済網を先に作れた

世界で唯一、通貨をゼロにした経験を持つ国が、いま「通貨に縛られない決済網」を持っている。カンボジアの話だ。自国通貨が信用されないという最大の弱点を、消そうとするのではなく設計条件として受け入れたら、結果として近隣国や中国…

スウェーデンでは他人の森のブルーベリーを売っていい——「既定は開いている」という国の設計

他人の森に入ってブルーベリーを摘み、それを売っていい スウェーデンで一番面白い仕組みは、森の入口にある。私有地であっても、誰でも歩いて入っていい。野生のブルーベリー(正確にはビルベリー)やコケモモ、キノコ、花を、地主に断…

スイスは値札を決める人の手元に置く——ゴミ袋・シェルター・13回目の年金に学ぶ設計

スイスで一番面白いのは時計でもアルプスでもない。値札を、決める人の手が届く場所に置いてあるという設計だ。ゴミを捨てる瞬間、家を建てる瞬間に、コストが目の前にある。そして「そこがずれた時に何が起きるか」まで、この国は実例で…

ブラジルの答えは「取り締まり」ではなかった——レシートを頼む客に税を返したら、申告売上が21%増えた

サンパウロ州では、レジで「レシートをください」と頼むと、その店が納めた税金の一部が自分の残高に戻ってくる。おまけに毎月、最高賞金100万レアルの抽選券までついてくる。景品めいた制度に見えるが、これは州の税収を本気で増やし…

ナンバープレートに7文字しか使わない国——ボスニア・ヘルツェゴビナの「引き算する設計」

ラテン文字とキリル文字で、形が同じ文字は7つしかない ボスニア・ヘルツェゴビナの車のナンバープレートには、A・E・J・K・M・O・Tの7文字しか使われない。この7文字は、ラテン文字とキリル文字のどちらで読んでも形がまった…

東ティモール:米ドル紙幣を借りて、硬貨だけ自分で作る国から学ぶ「摩耗する場所だけ自前化」する設計

世界でいちばん割り切りのいい通貨設計をしている国のひとつが、東南アジアの東端にある。東ティモールだ。この国は米ドル紙幣をそのまま使いながら、硬貨だけは自分で作っている。しかも「どの額面を硬貨にするか」の判断が、驚くほど実…

トルクメニスタンの絨毯はなぜ「ブハラ」と呼ばれるのか——名前・許可された隙間・二重の価格から持ち帰る4つの型

トルクメンの手織り絨毯は、西洋では長いあいだ「ブハラ絨毯」と呼ばれてきた。だがブハラはウズベキスタンの都市で、織り手の土地ではない。集荷され、売られた場所の名前が、作った人の名前を上書きしてしまったのだ。僕がトルクメニス…

南インドの山奥で見た、楽園と猿泥棒が同居する豊かさ

ブラウザでインドの公式情報やニュースを開いたとき、最初に目が留まったのは制度の名前ではなく、画面の隅に残る小さな具体物でした。人が集まる場所、使われている道具、短い告知の一文。遠い国の話のはずなのに、自分の仕事や暮らしで…

南極──「科学」が投票権になる、世界で唯一の合意制大陸

科学者を送れば「投票権」がもらえる大陸 南極は、どの国のものでもない。それだけなら知っている人も多いだろう。でも、もう一歩踏み込むと面白い仕組みが見えてくる。南極では「研究基地を建てて、実際に科学者を送り込んでいる国」だ…

シベリア|永久凍土を守るのは、1万年前の動物たちだった

シベリアの凍土の下には、大気中のほぼ2倍にあたる約1兆5,000億トンの炭素が眠っている。この巨大な「炭素の金庫」が気温上昇で溶け出せば、気候変動は一気に加速する。ところが、この問題に「動物を放牧する」という驚くほどシン…

カザフスタン――世界のリンゴはすべてこの山から来た

世界中のスーパーで当たり前に並んでいるリンゴ。そのすべての原種が、カザフスタンの山に今も生えている。しかもカザフスタン最大の都市アルマトイの名前自体が「リンゴの父」を意味する。地球上で最もありふれた果物の”ふ…

オマーンの水路は、砂漠の下で公平を流していた

ブラウザでオマーンの公式情報を開いたとき、最初に気になったのは制度名ではなく、画面の端に残る小さな具体物でした。人が集まる場所、使われる道具、短い告知文。遠い国の話なのに、自分の仕事でいつも詰まる問題とどこか似ている。 …

ルワンダの土曜朝が教える、町を直す人は会議室にいない

モニターの光だけが頼りない夜の編集部で、僕はルワンダの地方行政区画を映した地図を拡大していた。スクロールのたびに、日本語の「地域運営」という言葉が持つ重苦しいイメージが、少しずつ剥がれ落ちていく気がした。 日本の会議室で…

大西洋の真ん中で、海が空白ではないと知った日

地図アプリで世界中の街並みを見られる時代になっても、海の上はなぜか「空白」のまま表示される。どこまでも青いだけで、何もない場所として扱われる。でも、本当にそこは空白なのだろうか。 ポルトガル沖1000キロ。陸地から遠く離…

ウルギーで思い出した、世界はまだ広いということ

ウランバートルから飛行機で西へ二時間。窓の外の緑が消え、茶色い大地が果てしなく続き始めた頃、機体はウルギーの小さな空港に降りた。 タラップを下りた瞬間、空気が変わった。乾いた風が頬を叩き、視界の端から端まで地平線しかない…